研究所創設によせて
AI仕事力研究所を立ち上げた理由。タスク管理が苦手だった自分と生成AIとの出会いから、『人間がもっと人間らしく働ける未来』を目指すに至った経緯を所長が綴ります。
- #AI仕事力研究所
- #創業ストーリー
- #働き方

AI仕事力研究所を立ち上げました。
名前だけを見ると、もしかすると「AIに詳しい人が、AIの使い方を研究する場所」のように見えるかもしれません。
でも、私がこの研究所をつくった理由は、少し違います。
振り返ってみると、私はずっと、
「人は、どうすればもっと良い仕事ができるのか」
ということを考えてきたように思います。
私は、何でも器用にこなせる人間ではありません
私はもともとリクルートで営業を経験し、その後、Webマーケティングの世界に入りました。
ウェブ解析、データ分析、GA4、GTM、データポータル、BigQueryなど、長く「データを使って成果を高める仕事」に関わってきました。
営業、マーケティング、データ分析、経営。
振り返れば、ずっと現場で「どうすれば、もっと良い成果を出せるのか」を考えてきたのだと思います。
一方で、私自身は決して、何でも器用にこなせる人間ではありません。
特に昔から苦手だったのが、タスク管理や優先順位付けです。
複数の仕事を整理して、抜け漏れなく管理して、計画的に進める。
そういうことが、自然にできるタイプではありませんでした。
苦手なことを、ずっと工夫して補ってきました
そして最近、私はADHDと診断されました。
振り返ってみると、タスク管理や優先順位付け、頭の中にある複数のことを整理しながら仕事を進めることに苦労してきたのも、自分の特性と無関係ではなかったのだと思います。
もちろん、それを理由に「できなくても仕方がない」と考えているわけではありません。
実際、私はこれまで、プロジェクトマネジメントを勉強したり、仕事術の本を読んだり、タスク管理ツールを試したり、自分なりのルールや仕組みを作ったりしてきました。
少しずつ工夫を重ねて、昔よりはずっとできるようになったと思います。
少なくとも、苦手だったことを何とか人並みくらいまでは引き上げてきました。
でも、ずっと一つの疑問がありました
その過程で、ずっと一つの疑問がありました。
「これって、本当に人間が努力して克服しなければいけないことなんだろうか?」
という疑問です。
もちろん、苦手なことから逃げればいい、という話ではありません。
最低限できなければ仕事にならないこともあります。
でも私は、本来、人間は不得意なことを60点、70点にするために力を使い続けるよりも、得意なことを80点から100点、120点へ伸ばした方が、大きな価値を生み出せると思っています。
アイデアを考える。
人と話す。
新しいものをつくる。
問いを立てる。
意思決定をする。
誰かの気持ちを理解する。
人によって、本当に力を発揮できる場所は違います。
苦手を埋めることに、人間の力を使い続けなくてもいい
それなのに実際の仕事では、
タスクを整理すること。
抜け漏れなく覚えておくこと。
優先順位をつけること。
進捗を管理すること。
過去の経緯を探すこと。
次に何をするかを整理すること。
こうした仕事に、かなり多くの時間と認知資源を使っています。
私は以前から、
「こういう仕事こそ、もっとシステムに任せられないのだろうか」
と思っていました。
だからこそ、タスク管理やプロジェクトマネジメントだけでなく、仕事の進め方そのものに興味を持ち、さまざまな本を読み、自分自身で試しながら、長い間考え続けてきたのだと思います。
生成AIと出会って、点と点がつながりました
生成AIを使い始めたとき、最初に感じたのは単なる「便利さ」ではありませんでした。
文章を書いてくれる。
要約してくれる。
調べものをしてくれる。
もちろん、それだけでも十分に便利です。
でも、実際にAIと対話しながら仕事をするようになるにつれて、もっと大きな可能性を感じるようになりました。
自分の考えを話すと、整理して返してくれる。
曖昧なアイデアを、一緒に形にしてくれる。
過去の情報と現在の状況を踏まえて、次に考えるべきことを提示してくれる。
自分では気づかなかった視点を出してくれる。
そして、仕事そのものを一緒に進められる。
そのとき、ずっと頭の中にあったものが、一気につながった感覚がありました。
「これなら、人間が苦手なことを無理に克服しなくてもいい仕事の仕組みをつくれるかもしれない。」
そう思いました。
AIそのものを研究してきたから、このテーマにたどり着いたわけではありません。
むしろ、営業やマーケティング、データ分析、経営、仕事の仕組み化といった現場で、長く「どうすれば人はもっと良い仕事ができるのか」を考えてきたからこそ、生成AIを見たときに、その可能性を強く感じたのだと思います。
AIは、仕事を速くするだけの道具ではない
私は、AIによって仕事が少し速くなることだけに、それほど大きな価値を感じているわけではありません。
AIの本当の可能性は、
人間とシステムの役割分担そのものを変えられること
にあると思っています。
これまでのシステムは、基本的には人間があらかじめ決めたルールに従って動くものでした。
しかし、人間の仕事はそんなに単純ではありません。
今日は何を優先するべきか。
この仕事は本当に今やる必要があるのか。
このアイデアは、別のプロジェクトとして育てるべきか。
ここはAIに任せてよいのか。
ここから先は人間が判断するべきなのか。
こうしたことは、文脈を理解しなければ判断できません。
生成AIは、これまでシステム化することが難しかった、こうしたあいまいな領域にまで踏み込める技術だと感じています。
AIが当たり前にいる時代の「仕事」を設計し直す
だから私は、AIを「便利なツール」としてだけではなく、
第二の脳であり、
優秀な秘書であり、
ときには共同経営者のような存在として考えるようになりました。
そして同時に、
「これからの、『AIが当たり前に存在する時代』の仕事の進め方そのものを、もう一度設計し直す必要がある」
と考えるようになりました。
重要なのは、「どのAIツールを使うか」だけではありません。
人間が何を考え、何を判断するのか。
AIには何を任せるのか。
そして、人とAIがどのように仕事を進めれば、より良い成果につながるのか。
仕事そのものの設計を考える必要があると思っています。
「AIを使える」だけでは足りない
ただし、AIを使えば自動的に仕事がうまくいくわけではありません。
AIに丸投げすれば、良い成果が出るわけでもありません。
何のために仕事をするのかを考える。
AIに何を任せるのかを決める。
対話しながら成果物を育てる。
AIにも検証させながら、最後は人間が確認し判断する。
そして、一度うまくいったやり方を仕組みにする。
こうした一連の力が必要になります。
私は、この力を
「AI仕事力」
と呼んでいます。
AI仕事力とは、単にAIツールを操作できることではありません。
AIを自分の知性の一部として自然に仕事へ組み込み、人間とAIそれぞれの強みを生かしながら、人間だけでは到達できなかった成果や価値を生み出す力を定義した言葉です。
だから、AI仕事力研究所をつくりました
私は、AIそのものを研究したくて、AI仕事力研究所をつくったわけではありません。
研究したいのは、
AIによって、人間の仕事力をどう増幅できるのか。
ということです。
人とAIは、どう仕事を分担するべきなのか。
AIには何を任せるべきなのか。
人間にしかできない仕事とは何なのか。
AIと仕事をするとき、どのような進め方をすれば成果が高まるのか。
AI時代に、判断力はどう育てていくべきなのか。
組織の中でAIをどう位置付ければよいのか。
まだ、答えの出ていない問いがたくさんあります。
だからこそ、「研究所」という名前にしました。
私自身が完成された答えを持っていて、それを上から教えるための場所ではありません。
私自身も一人の実践者として、試し、失敗し、学びながら、より良い答えを探し続けたいと思っています。
そして、そこで得られた知見を、研究だけで終わらせず、仕事の進め方や教育、仕組み、サービスへとつなげていきたいと思っています。
人間が、もっと人間らしく働ける未来へ
AIについて語られるとき、
「AIに仕事を奪われる」
という話がよく出てきます。
もちろん、仕事の形は大きく変わっていくと思います。
でも私は、その未来を悲観的に捉えてはいません。
むしろ、
AIによって、人間が不得意なことを無理に抱え続けなくてもよくなる未来
をつくれるのではないかと思っています。
覚えておくこと。
整理すること。
管理すること。
繰り返すこと。
調べること。
叩き台をつくること。
そうした仕事をAIと分担することで、人間はもっと、
考えること。
創造すること。
判断すること。
人と向き合うこと。
自分にしかできないこと。
に力を使えるようになる。
私は、そんな働き方を実現したいと思っています。
人間をAIに合わせるのではなく、AIによって、人間がもっと人間らしく働けるようにする。
それが、私がAI仕事力研究所を立ち上げた一番大きな理由です。
まだ、研究は始まったばかりです
AIは、今後も大きく進化していくでしょう。
今日の正解が、数年後も正解である保証はありません。
だからAI仕事力研究所では、完成された「正しいAIの使い方・付き合い方」を決めるのではなく、実践と研究を通じて、より良いAIとの協働方法を更新し続けていきたいと思っています。
いつか、
「AI仕事力」という言葉が、
英語力やITリテラシーと同じように、誰もが当たり前に持つべき力として認識されるようになったら。
そして、一人でも多くの人が、
AIによって自分の可能性を広げ、自分にしかできない仕事へ力を使えるようになったら。
その未来を、この小さな研究所から少しずつつくっていきたいと思います。
AI仕事力研究所 所長
佐々木秀憲
この記事の執筆者
佐々木秀憲
AI仕事力研究所 所長/Human × AI Work Designer
AI仕事力研究所 所長。ウェブ解析・データ活用・生成AIの実務経験をもとに、人とAIが協働し、人間だけでは到達できない成果を生み出すための仕事設計を研究・発信しています。
詳しいプロフィール →